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すいかの匂い 江國香織著 新潮文庫 【あらすじ・感想】

こんにちは!

8月もあと少しで終わりですね。

今回は夏の思い出が描かれた小説を読んだので、感想を書きました。

 

目次

 

すいかの匂いとは

 11人の少女の夏の記憶の物語が描かれた短編小説集です。

すいかの匂い (新潮文庫)

すいかの匂い (新潮文庫)

 

 

各話のあらすじ

すいかの匂い

9歳の夏、母の出産の間、叔母の家にあずけられて過ごした少女の話。

ホームシックになり、叔母の家を飛び出した後に私は不気味な体験をすることに...

 

蕗子さん

母が始めた下宿屋に住んでいた蕗子さんと少女が落とし穴を作る奇妙な話。

蕗子さんの行動には謎が残ったままです。

 

水の輪

かたつむりと和菓子とやまだたろう(仮名)という不気味な少年が出てくる話。

 

 

海辺の町

海辺の町で過ごした11歳の夏に出会った、パン工場の変わったおばさんとの思い出。

 

優しかった弟と夏のお葬式の話。

 

あげは蝶

豪邸である母の実家に帰省中の新幹線で、ミニスカートの女性に声をかけられる話。

 

焼却炉

巡回影絵の公演にやってきたボランティアの学生に惹きつけられた、いじめられっ子の少女の話。

ジャミパン

母と叔父と3人で過ごしていた少女の話。

叔父が婚約して、叔父の婚約者と母を比べる少女の気持ちが描かれています。

薔薇のアーチ

夏休み、祖父母の家の近くの砂浜でおかっぱ頭の子と出会って仲良くなる。

いじめられっ子であることを言い出せない少女は、東京の小学校でうまく過ごしていると嘘をつく。

 

はるかちゃん

小学校二年の夏休みに親しくなって、秋には引っ越してしまったマイペースなはるかちゃんとの思い出。

子どもの頃、いつも助けてくれたM(高校生のころに同性愛者と噂が立つ)に夫と離婚することになった話を聞いてもらいつつ、小学生の頃の思い出を振り返る。

 

全体の感想

全体的に夏のけだるい雰囲気が漂っていて、時間の流れがゆっくり過ぎる子どものころの感覚を思い起こさせます。

誰もが持っていても、忘れてしまっていたり、見過ごしてしまっているような感情や感覚を緻密な描写で描かれていて、著者らしい文体や表現を楽しめます。

大人には言えない秘密や、子どもであるがゆえのささやかな狂気とほのかな残酷さを感じる話が揃っていて、どこか懐かしさを感じる短編小説集。