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野球(千葉ロッテ、高校野球)と競馬(POG)中心の雑記ブログです。音楽・読書なども。

「羊と鋼の森」著:宮下奈都のあらすじと感想【2018年6月8日映画公開】

 

2016年に本屋大賞を受賞し、2018年6月8日から映画化される話題作羊と鋼の森の小説を読んだ感想を書きました。

 

 

あらすじ

主人公の外村は、高校生の時にとあるきっかけで調律師の板鳥さんと出会い、ピアノを調律する様子を目にして心を打たれ、調律師を目指す決意をします。

高校卒業後に調律師の養成学校を卒業した外村は、江藤楽器店で調律師として働き始めます。

個性的な先輩たちや双子の姉妹との出会いを通して、調律師として葛藤しながらも成長していく青年の姿を温かく描いた物語。

 

登場人物

外村

主人公。

ピアノの経験や音楽のベースがないことがコンプレックスであるものの、ひたむきに調律師の仕事と向き合っていく。

 

板鳥さん

主人公の人生を変えた調律師。

巨匠のコンサートの調律にも呼ばれる凄腕の持ち主。

飛行機が苦手で海外にはいかず、楽器店で働いている。

 

柳さん

調律師で、親切で気さくな先輩。

趣味でバンドのドラムを演奏していて、婚約中のいわゆるリア充

一方で、青年期に神経過敏になった時期があり、神経質な一面も。

 

秋野さん

口は悪いが調律の腕前は見事で、ピアノに対する強い情熱を持っている。

過去にはピアニストを目指していた。

 

 

佐倉和音・由仁

双子で外見がそっくりな一卵性双生児の姉妹 。

姉の和音はまじめな努力家で、妹の由仁は明るく自由奔放な性格。

 

 

感想 

主人公の内面を中心に淡々と物語は進んでいくので、比較的読みやすい小説だと思いました。

ピアノの調律という絶対的な答えのない音の世界で、それでもよりよい音を探して、それぞれの姿勢で探求していく外村や先輩の調律師たちの姿勢が印象に残りました。

森をイメージさせる比喩表現であったり、それぞれの登場人物の真摯にピアノと向き合う心情であったり、全体的に綺麗な小説だと感じました。

 

2018年2月9日文庫版発売

2月に文庫版が発売されました。森と羊と楽譜の絵が印象的な表紙ですね。

 

羊と鋼の森 (文春文庫)

羊と鋼の森 (文春文庫)

 

 

羊と鋼の森

羊と鋼の森

 

 

本屋大賞

羊と鋼の森は2016年の本屋大賞を受賞しています。

本屋大賞は書店員の投票によって選ばれる賞で、選考委員によって選ばれる他の文学賞と比べると親近感を感じる賞です。

また、過去の大賞作品の多くは映像化されています。

これまでの本屋大賞 | 本屋大賞

 

2018年6月8日映画公開

映画「羊と鋼の森」公式サイト

映画『羊と鋼の森』予告 - YouTube

 

2018年6月8日に映画が公開されます!

主演は山崎賢人さん、NHKのせごどんにも出演している鈴木亮平さんら豪華キャストで、エンディングテーマは久石譲作曲・編曲、辻井伸行ピアノ演奏の豪華タッグとなっています。

 

 

「Good Luck」出版社:ポプラ社【あらすじと感想】

今週のお題「読書の秋」

 

目次

 

本の紹介 

Good Luck

Good Luck

 

緑と四葉のクローバーの美しい表紙が印象的な1冊。 

75か国以上で出版され、日本でも200万部のベストセラーとなりました。

 

 

あらすじ

64歳のマックスは公園のベンチで幼なじみのジムと偶然にも再会します。

2人は家族ぐるみの付き合いをしていましたが、10歳のころにジムたちが黙って引っ越してからは音信不通でした。

54年ぶりに再会した2人は互いの人生を振り返ります。

家族は貧しかったものの、22歳で経営者となってからは順風満帆だったマックス。

一方、祖父から多くの遺産を受け継いだジムは、一家で経営してきた工場が苦しくなり全てを失っていました。

あまりにも対照的な人生に、ジムは自分の運のなさを嘆きます。

そんなジムを見たマックスは運と幸運の違いについて、幸運のクローバーの物語を始めます。

 

印象に残った言葉

 

幸運が訪れないからには、訪れないだけの理由がある。

幸運をつかむためには、自ら下ごしらえをする必要がある。

 

出典:アレックス・ロビラ、フェルナンド・トリアス・デ・べス共著 田内志文訳「Good Luck」2004 p.42

 

幸運のクローバーの物語に登場した、黒いマントの騎士ノットは自ら可能性を閉ざしていたのに対し、白いマントの騎士シドが創意工夫を重ねて幸運のクローバーを手にしたのが印象的でした。

不平不満を言ったり、不幸を嘆くだけではなく、成功の方法や可能性を考えて工夫していくことが大切だと思いました。

 

感想

幸運を自ら作り出すためには、やれることはやってみることが大切だと感じました。

シドの人から学ぶ姿勢と行動力、勇気を感じて、読んでいて前向きな気持ちになれる物語です。

努力の方向性を考えて幸運の下ごしらえをしていこうと思いました。

 

まとめ 

Good Luckはシンプルでありながら心に残る幸運のヒントがたくさん詰まっています。

読みやすいので万人にオススメの1冊です!

すいかの匂い 江國香織著 新潮文庫 【あらすじ・感想】

こんにちは!

8月もあと少しで終わりですね。

今回は夏の思い出が描かれた小説を読んだので、感想を書きました。

 

目次

 

すいかの匂いとは

 11人の少女の夏の記憶の物語が描かれた短編小説集です。

すいかの匂い (新潮文庫)

すいかの匂い (新潮文庫)

 

 

各話のあらすじ

すいかの匂い

9歳の夏、母の出産の間、叔母の家にあずけられて過ごした少女の話。

ホームシックになり、叔母の家を飛び出した後に私は不気味な体験をすることに...

 

蕗子さん

母が始めた下宿屋に住んでいた蕗子さんと少女が落とし穴を作る奇妙な話。

蕗子さんの行動には謎が残ったままです。

 

水の輪

かたつむりと和菓子とやまだたろう(仮名)という不気味な少年が出てくる話。

 

 

海辺の町

海辺の町で過ごした11歳の夏に出会った、パン工場の変わったおばさんとの思い出。

 

優しかった弟と夏のお葬式の話。

 

あげは蝶

豪邸である母の実家に帰省中の新幹線で、ミニスカートの女性に声をかけられる話。

 

焼却炉

巡回影絵の公演にやってきたボランティアの学生に惹きつけられた、いじめられっ子の少女の話。

ジャミパン

母と叔父と3人で過ごしていた少女の話。

叔父が婚約して、叔父の婚約者と母を比べる少女の気持ちが描かれています。

薔薇のアーチ

夏休み、祖父母の家の近くの砂浜でおかっぱ頭の子と出会って仲良くなる。

いじめられっ子であることを言い出せない少女は、東京の小学校でうまく過ごしていると嘘をつく。

 

はるかちゃん

小学校二年の夏休みに親しくなって、秋には引っ越してしまったマイペースなはるかちゃんとの思い出。

子どもの頃、いつも助けてくれたM(高校生のころに同性愛者と噂が立つ)に夫と離婚することになった話を聞いてもらいつつ、小学生の頃の思い出を振り返る。

 

全体の感想

全体的に夏のけだるい雰囲気が漂っていて、時間の流れがゆっくり過ぎる子どものころの感覚を思い起こさせます。

誰もが持っていても、忘れてしまっていたり、見過ごしてしまっているような感情や感覚を緻密な描写で描かれていて、著者らしい文体や表現を楽しめます。

大人には言えない秘密や、子どもであるがゆえのささやかな狂気とほのかな残酷さを感じる話が揃っていて、どこか懐かしさを感じる短編小説集。